このページの先頭です

メニューを飛ばして本文を読む

ここから本文です

サイト内の現在位置

教員紹介

南 泰浩 教授 MINAMI Yasuhiro

  • 情報システム基盤学専攻
  • 情報システム基礎学講座
  • minami.yasuhiro(at)is.uec.ac.jp

研究分野

情報システム学の基礎的な分野であるデータ構造,計算機言語処理,数理統計,学習アルゴリズム,信号処理の成果を応用し,音声認識,対話処理,環境知能,認知科学の分野の研究を行います.

特に,人間の高度な知識処理を実現する人工知能,自然な対話を実現する対話処理,人間の語彙習得機構の解明,の3分野に重点を置いて研究を進めます.研究の究極のゴールは,人間の意図を読み取るために,知識を自律的に学習し,人に対して自然に振る舞うシステムの実現することです.

具体的な研究項目

1.人間の学習機構に基づく知識処理

人間の高度な問題解決方法を参考に,知識処理研究におけるブレークスルーを実現します.特に,「ロボットは東大に入れるか」というプロジェクト,通称「東ロボ」において,センター試験で高得点を目指すロボットの開発を,様々な研究機関と共同で実施しています.2014年は図に示すように,センター試験で2013年より10ポイントほど偏差値を向上させ,偏差値50.5を達成しました.このような試みを通じて,人間の高度な情報処理を達成できる人工知能の実現を目指します.

2014年の東ロボ英語成績
(NII,NTT,秋田県立大学,岡山県立大学,大阪工業大学との共同研究)

2.自然な対話を実現する対話処理

しゃべってコンシェルやSiriの出現により,人間とシステム間での対話によるコミュニケーションが日常的なものになってきました.今後,対話処理の研究はますます重要になっていきます.このようにシステムが人と対話するようになってきても,システムの対話が“自然じゃない”という批判をよく耳にします.“自然な対話”とは具体的にどういうものでしょうか?“文脈のおかしな対話ですよ”と答えが返ってくるかもしれません.しかし,人間でも,文脈のおかしな対話を気づかずに話しています.それにも関わらず,対話は自然に感じます.このように,自然だという感じを定義するのは極めて難しい問題です.システムが自然な対話を実現するためには,実は,この対話の自然性とは何かということをより詳しく見ていく必要があります.この研究では,自然性に関する人の評価を定量化し,この評価を最適化する対話制御システムの研究を行います.対話処理では,音声認識や,感性認識のようなパターン認識の研究も研究対象としますが,従来のように認識精度向上を実現するパターン認識を目指すのではなく,人間とシステムとのインタラクションの自然性の向上を実現するパターン認識を目指します.

3.幼児の語彙習得機構の分析

人間がどのように言語を習得するのかを解明するため,横断・縦断データ(横断:多人数の一回かぎりのデータ,縦断:数人の長期の時系列データ)を対象として数理統計的な分析を行います.これまで,幼児が約50語を習得した時に語彙数が急激に増加する現象,すなわち,語彙爆発(ボキャブラリー・スパート)のメカニズムを研究してきました.このような分析を通して,これまで心理学では使われてこなかった数理統計手法を用いた新たな研究分野を創成してきました.

このような研究をもとに,横断・縦断データを利用し,語彙習得機構の数理的なモデルを構築して,その妥当性を検証していきます.最終的には,人間の言語習得機構の全般に対する認知的なモデルを提案し,今まで謎に包まれてきた人間の言語習得能力を明らかにして行きます.

教員紹介