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教員紹介

清 雄一 准教授 SEI Yuichi

  • 社会知能情報学専攻
  • システム設計基礎学講座
  • sei(at)is.uec.ac.jp

1.はじめに

クラウドコンピューティングやユビキタスコンピューティングといった技術に取組み、分散検索時の速度向上やユビキタス環境におけるセキュリティに関する研究を行っています。研究的要素としては、情報のやり取りに関するモデリングを行い、統計的手法を用いたアプローチを取っています。

2.研究内容

(1)大規模システムの障害データ分析に基づくソフトウェア開発プロセス改善

多くのシステム障害(インシデント)が発生しており、各インシデントに対して暫定対応や恒久対応は実施しているが、似たようなインシデントが継続的に発生するという状況がしばしば見受けらます。各インシデントへの個別対応のみではなく、開発プロセスや運用プロセスそのものを改善する必要があると考えられます。
しかし、発生原因は自由記述であり、自由記述のデータを人が読み込むことは現実的ではありません。また、仮に各インシデントを逐一読み込み、それぞれに対してプロセス改善策を考えたとしても、全体を見渡した最適な改善を策定することができません。また、各インシデントがどのような原因で発生したかの大まかなカテゴリはわかりますが、項目の抽象度が高く、具体的な対策案は見えてきません。
このような状況を踏まえ、共通の対策や対策方針を立てることができるほど詳細な原因区分を定義し、各インシデントに対して機械的に原因区分を付与する方法論を確立しています。詳細な原因区分のレベルで同一のインシデントの集合を抽出することにより、複数のインシデントを見渡した、より最適なプロセス改善策を策定できるようになります。

(2)クラウドコンピューティングにおけるテキストデータの高速検索

クラウドコンピューティングにおける、高速ストレージソフトウェアの実現手法の一つとして、分散ハッシュテーブル(DHT)があります。DHTは中央サーバが必要ないコンテンツ共有分散システムの一形態です。DHTでは参加しているノードにそれぞれ担当キーを割り当て、指定された任意のキーの担当ノードへ高速にメッセージルーティングすることができます。しかし、ブログ等のテキストドキュメントを対象として全文検索を行う場合にはスケーラビリティに欠けます。
Bloom Filterという集合要素の圧縮手法等を用いて、高速なテキスト検索を可能にする研究を行っています。

(3)ユビキタスコンピューティングにおけるメッセージ通信妨害攻撃の検知

ユビキタスコンピューティングを実現するインフラストラクチャの一つとして、無線センサーネットワーク(WSN)があります。WSNは多数のセンサーノードから構成され、環境情報を取得することができるものです。ネットワーク管理者は興味のあるイベントを登録し、そのイベントを検知したノードは、無線を通じてユーザまでマルチホップで通知を行います。
WSNは、広範囲の領域に設置されることが多く、WSNにおいては、攻撃者がセンサーを物理的に取得する脅威が存在します。攻撃者は取得したセンサーノードから、秘密鍵等の情報を全て抽出することが可能です。抽出した情報を用いて、攻撃者は任意のプログラムを実行する不正ノードを作成し、不正メッセージを用いたメッセージ通信妨害攻撃等を行うことができます。
メッセージ通信妨害攻撃の検知を可能にするミドルウェアの提供に関する研究を行っています。無線センサーネットワークにおけるセキュリティ手法を提案する場合には要件として、i.不正取得に対して耐性があり、ii.故障に対して耐性があり、iii.省エネルギーな手法であることが求められます。

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