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教員紹介

太田 敏澄 教授 OHTA Toshizumi

  • 社会知能情報学専攻
  • 社会情報システム学講座
  • ohta(at)is.uec.ac.jp

1.社会情報システム学の課題

最近の情報システムは、ソフトウエアが社会的関係を仲介する社会的コンピューティングや、ネットワーク上の仮想空間であるヴァーチャル・コミュニティを実現している。インターネットに代表される新たな情報ネットワークは、社会において、双方向的な情報の受発信を実現している。これは、マスメディアとは異なる情報通信空間の出現である。

高度情報ネットワーク社会においては、情報空間に参加する知的な主体は、自律的で自己生成的な連鎖を生成する。現代社会は、分散する知的な主体が、新たな情報通信環境の下で、シンボルや主体相互の連鎖をConstant Becoming に生成する場となってきている。この場は、生命体が生成するシステムのもつ自由度を越えた自由度をもつ。自己生成時代の到来である。

社会情報システム学は、このような状況に対して、政治情報システム、経済情報システム、行政情報システム、生活情報システムなどの情報システムを視野に入れ、情報システムの技術的、経済的環境を想定することができるか、情報システムの構想を描くことができるか、情報システムの利用場面のシナリオを書くことができるかといった課題に取り組む。

社会情報システム学は、人間・社会の立場に立って、固有技術の統合を目指す学問である。

2.社会情報システム学のアプローチ

社会情報システム学は、これらの課題に対して、次の三つの主要な側面からのアプローチを行い、社会情報システムの自己生成性や創発性の解明を行う。

(1) 情報システムを意識した社会システム論に関して、分散する知的な主体による自己生成や、複雑系としての社会についてのモデル化を課題とするアプローチ
(2) 社会システムを意識した情報システム論に関して、分散・協調や統合・調整の理論化を課題とするアプローチ
(3) 社会情報の社会論的意味と情報論的意味に関して、人文・社会科学的情報概念と自然科学的情報概念との統合を課題とするアプローチ

これらのアプローチに共通する基礎的な方法論は、操作的オーガニゼーションである。この方法論は、データ構造、情報構造、知識構造、組織構造、社会構造、進んでは自己や他者の参照するパラダイムに及ぶ透過性や接続性を確保する方法の確立を志向している。なお、これらの点について、詳しくは「社会情報システム学・序説」(富士通ブックス)を参照されたい。
これらのアプローチは、以下に示すような研究例に具体化されている。

3.社会情報システム学における研究課題

サイバー・コモンズ

電子的な空間における自己生成的な情報や知識の交換は、ネットワーク上のニュース・グループのように、新たな共有空間を生成する。すなわち、サイバー・コモンズの生成である。この設置や維持、発展に関わる仕組みや、参加者の行動様式や意識を解明する研究である。
来るべき社会における情報システムのシナリオを描くため、従来の物的な財を中心としたコモンズとの対比を行うとともに、新たな情報通信環境における参加型制度形成やその変容、あるいは参加者間の境界生成について、参加者のもつ局所的なルールに準拠したシミュレーションを行い、その解明を行う。

コンピュテーショナル・オーガニゼーション理論

分散する知的な主体の集合体において創発される組織学習や調整、構造生成・変動、自己生成的連鎖、境界形成などの問題に対して、組織知能や集合知能の視点から、メカニズム志向型の理論を開発する。これは、組織や社会における情報システムの役割を解明する基礎的研究である。
この研究は、同時に、理論構築型のシミュレーションを実装することにより、研究者のアイデアを操作的に実現する方法を開発する研究ともなっている。

組織知能工学

組織の問題解決能力、すなわち組織知能を高める情報システムの在り方を、情報や知識の組織化のためのプロトタイプの開発、コンピュータ上のシミュレーション・モデルの構築や社会における実態調査、シミュレータの開発により解明する研究である。
この研究は、組織のコミュニケーションや意思決定に関して組織設計を支援するグループ・エディタの開発や、組織の診断と改善方策の提言を支援するエキスパート・システムの開発などを行うものである。

4.おわりに

広く先人の研究成果を修め、これに留まることなく、新たな研究領域を切り開いて行く意欲に満ちた学徒との相互研鑽を切望している。

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