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教員紹介

大須賀 昭彦 教授 OHSUGA Akihiko

  • 社会知能情報学専攻
  • システム設計基礎学講座
  • ohsuga(at)uec.ac.jp

1.はじめに

インターネットに代表されるネットワーク技術は、ビジネス、教育、医療、公共サービスなどの分野でも活用され始め、我々の生活に無くてはならないものとなりつつある。しかし、これらのネットワーク上で情報は広範囲に分散し、その内容や構成は日々変化し続けている。また、新しいモバイル機器の登場によってネットワークの利用の場が広がり、利用者の求める情報も多様化している。このため、ネットワーク上で動作するソフトウェアは、各所に分散した情報を有効活用し、環境の変化に柔軟に対応し、利用者の多様な要求に的確に応えるものでなければならない。

2.研究内容

このようなソフトウェアを簡単に作る方法はないものだろうか。これに対するひとつの解が「エージェント指向」の導入である。エージェント指向とは、オブジェクト指向をさらに発展させたプログラミング・パラダイム(理論的枠組み)である。複雑になりがちなネットワーク上のソフトウェアも、エージェント指向の枠組みで捉えることによって自然に表現され、簡素化される可能性がある。そこで、以下の観点からエージェント指向技術の研究を進めている。

(1) エージェント指向ミドルウェア

一般に、オブジェクト指向におけるオブジェクトに、移動性や自律性、協調性などを加えたものがエージェントと呼ばれている。これらの特性によって、ネットワーク上のさまざまな場所へ移動し、利用者の要求に応える処理内容を自ら判断し、他者と協力して処理を進めるようなアプリケーションを簡単に構築できる。
このようなエージェントのためのプログラミング言語や実行環境は多数研究されているが、まだ決め手となるものが現れていない。Javaモバイルエージェント技術、エージェント間通信言語(ACL)、プランニングや学習といった技術を駆使して、独自のエージェント指向ミドルウェアを開発中である。

(2) エージェント指向ソフトウェア工学

エージェント指向ソフトウェア開発のための方法論や支援環境の研究を進めている。エージェントは状況に応じて柔軟に動作するため、動作の正当性や安全性を保証するしくみが必要となる。これには、フォーマルメソッドを用いた自動検証や、オブジェクトパターンの考え方を応用したエージェントパターンの適用が有効と考えている。
近い将来、異種エージェントがネットワーク上に多数存在し、それらが各所に移動しながらさまざまな処理を行なうことになる。これに向けては、ミドルウェアの標準化、エージェントの移動やエージェント間通信の相互運用性の確保、セキュリティや信頼性の研究が重要である。

(3) エージェント指向アプリケーション

エージェントの特性を生かしたアプリケーションの開発を行なっている。これまでに、モバイル環境向け検索エージェント、ヒューマンナビゲーションエージェント、ドライバー情報支援エージェント、電力系統巡回点検エージェント、プラント診断保全エージェントといった新しい実用アプリケーションを開発し、エージェントの有効性を実証してきた。

(4) Webサービス・エージェント

これまでのインターネットは人が見て楽しむことを前提に作られてきた。これをソフトウェアが機械的に読み取って活用するものへ変えていこうというのが、WebサービスやセマンティックWebの考え方である。これにエージェント技術を適用すれば、インターネットの利便性は飛躍的に向上する。そこで、Webサービスの基本技術であるXMLやSOAP、サービスディレクトリ(UDDI)をエージェント指向の枠組みで扱う研究を進めている。Webサービス・エージェントは、利用者が求めるサービスをサービスディレクトリから探し出し、処理手順や呼出し結果の組合せ方を考えながら適切に処理を進める。

3.おわりに

エージェント指向技術に対する世の中の期待は大きい。しかし、エージェント指向の研究はまだ始まったばかりであり、解決すべき課題も多い。今後もエージェント指向に関する独創的で、理論と実践のバランスのとれた研究を続け、世界に向けて発信できる研究成果を残していきたいと考えている。

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