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教員紹介

宮地 由芽子 客員准教授 MIYACHI Yumeko

  • 社会知能情報学専攻
  • 知識創産システム学講座
  • 財団法人 鉄道総合技術研究所
  • miyachi.yumeko(at)is.uec.ac.jp

1.研究の背景と目的

鉄道は多くの人、設備、一定のルールによって支えられ運営され、様々な観点から事故防止対策が行われてきた。ただし、設備や機器等の機能性信頼性を向上しても、その設備や機器を扱う人間との調和が不可欠である。安全管理で重要な着眼点の一つに「PDCAサイクルの確立」があるが、ヒューマンエラーの防止(D段階)には、その前に「いかに適切な体制や状況を整えるか」(P段階)を検討する必要があり、そのためには「いかに現状の課題を的確に洗い出せるか」(C・A段階)が鍵である。そして、「仕組みとしての安全」を強固なものとするには、人間というものへの理解を深め、現場の衆知を集めて効果的な対策を検討し、改善を図ることが不可欠である。

また、鉄道におけるサービスの基本は安全・正確で快適な輸送を乗客に提供することにあるが、輸送機能を担う技術系の係員の多くは提供している機能が旅客にどのように評価されているのかを把握できる機会が少ない。鉄道利用者あるいは社会の認識(安心感,信頼感)もふまえた安全の仕組みについての研究に今後も取り組んでいく。

2.研究テーマ

これまでに取り組んできている研究には次のようなものがある。

(1) 職場の安全風土評価法

組織システムや条件に対する人の認識のうち、安全に関連したものを「安全風土」と呼び、安全に向けた組織風土づくりの一貫とした調査研究に取り組んできた。こうした支援は、トラブルがまだ顕在化しないうちに安全な職場作りに取り組むことができるものである。

ただし、安全風土が長期的にどのように変容・醸成していくかは、今後も検討すべき課題である。

(2) ヒューマンファクタの分析法とリスク管理手法

発生した事故や不具合を防止するため、「何が事故を発生させる事象(ヒューマンエラー)なのか」「その発生に影響する要因(ヒューマンファクタ)は何か」を把握する分析手法を開発してきた。また、限られたリソースで効果的な対策を整備していくためには、リスク(頻度、影響)の大きさを評価し、対策の目的と効果に見合った優先順位の判断が必要である。さらに、的確なエラー防止のためには、リスクの高い事象の特定だけでなく、その誘発要因を考慮する必要がある。そこで、リスク値と誘発要因の影響度を組合せて、対応するエラー防止策の優先度を定量的に算出する方法を開発した。これにより、職場の状況に見合った効果的なエラー防止策を特定することが可能となった。

ただし、分析や評価の実施には手続きの理解だけではなく、分析対象の人間の特性を理解することが必要であり、このための効率的な教育指導法については今後も検討すべき課題である。

(3) サービス評価

サービスを広くとらえ、旅客に間接的に提供される各職種の活動をも含めた鉄道サービス評価手法を開発してきた。これを用いて、定期的な調査分析を重ねることで、顧客の満足度の変化や自社の改善の効率性を把握することが可能となる。

ただし、評価項目については、鉄道サービスに対する組織の方針や地域の旅客の意見を取り入れ、随時見直す必要がある。

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