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教員紹介

大坐畠 智 准教授 OHZAHATA Satoshi

  • 情報ネットワークシステム学専攻
  • ネットワークアーキテクチャ学講座
  • ohzahata(at)is.uec.ac.jp

1.はじめに

インターネットの普及に伴い様々なネットワークが相互接続され、様々なコンピュータが接続し、通信が行われるようになりました。インターネットの最初は、研究、開発者のテストベッドとして始まり、それがなし崩し的に実用ネットワークとして使われ、現在に至っています。つまり、現在のインターネットは、実験ネットワーク、実用ネットワーク、生活ネットワークが混在しています。ユーザが様々な思惑で同一のネットワークを共用しているため、技術的、社会的な問題が生じてきます。

インターネットの特徴として、スケールフリー性とエンド・トゥ・エンド原理をあげることができます。アドレス空間の制限がありますが、ネットワークの規模を大きくして行っても、動作する仕組みが備わっています。エンド・トゥ・エンド原理により、ネットワークの通信を制御する機能がエンドノードに集中し、ネットワークはただの通り道の役割を担っています。最初は、シンプルに設計されていたのですが、インターネットの利用方法の変化により、機能が次々と追加され、複雑になってきました。

機能が次々と追加させても、ネットワークがうまく機能している理由として、ネットワークがレイヤ構造で設計されていることが挙げられます。あるレイヤからは、上下のレイヤはブラックボックスであり、上下のインタフェイスを矛盾なく記述すると、機能を追加できるように設計されています。しかしながら、レイヤ内の高機能化により、レイヤ間では機能が冗長になり、無駄が目立つようになってきました。

つぎはぎだらけのインターネットを改良して使い続けるよりは、まったく新しいネットワークを作ったほうがよさそう、という動きが国内外で出てきました。つまり、これまでのインターネットのしがらみにとらわれることなく、自由にネットワークの研究をする環境が整いつつあります。

2.研究テーマの例

テストベッドの側面のあるインターネットを使ってシステム構築したら、制御不能に陥り、技術的、社会的な問題になってしまうことが多くなりました。例えば、自律分散かつ耐故障性をもつP2Pファイル共有ネットワークでは、著作権を侵害するファイルや個人情報を有するファイルが流通し、管理できない状況になっています。P2Pの技術は、ネットワークの負荷を分散できる有用な技術なのですが、利用のされ方に問題があり、その発展を妨げているのが現状です。管理不能のシステムがインターネット上に存在するのは好ましくないので、擬似的にでも管理する方法が必要となってきます。そこで、ネットワークの持つ性質や、フェイクの情報を流通させることにより、低コスト、かつ、善良なユーザには、まったく影響が出ないようなP2Pネットワークの制御、管理方式を研究しています。

さらに、これまで悪者扱いをされてきたP2Pの技術を、増大したインターネットのトラヒック量を負荷分散させる技術としてとらえて、負荷の集中を解消する方式を研究しています。P2P技術を用いた制御方式の研究にはレイヤを超えた視野が必要となってきます。P2Pファイル共有ネットワーク等のコンテンツ配信ネットワークを対象として、より効率の良いオーバレイ/IPネットワークの構築方法や、コンテンツの配信方式について研究を行っています。

3.研究の進め方

研究は、ネットワーク測定、コンピュータシミュレーション、実装の3つを組み合わせて進めていきます。ネットワーク測定では、問題の発見と分析、ネットワークの性質もモデル化を行います。コンピュータシミュレーションでは、問題の解決法の検証、性能評価を行います。その後、実装して測定評価を行います。研究室内で1つの研究に対して、異なる手法を用いる人がチームを組んで研究を進めることにより、チーム内の議論を活性化させ、研究としても高いレベルを目指していきます。

4.おわりに

ネットワークは、コンピュータや人をお互いにつなぐ、無限の可能性のあるシステムです。一緒にその可能性を切り開いていきませんか。

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