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教員紹介

加藤 聰彦 教授 KATO Toshihiko

  • 情報ネットワークシステム学専攻
  • ネットワークアーキテクチャ学講座
  • kato(at)is.uec.ac.jp

1.経歴

私は、平成14年3月より、電気通信大学で研究を進めています。それ以前は、KDDI研究所にて約19年間コンピュータネットワークに関連する研究開発に携わってきました。この間、はじめはOSI(開放型システム間相互接続)と呼ばれる国際標準のネットワークアーキテクチャを対象とし、次にATMやインテリジェントネットワークなどの研究にも参加し、最後は高速インターネットやモバイルインターネットに関する研究を担当しました。幸いなことに、通信事業者が運用する各種通信ネットワークを一通り対象とすることができたと思っています。またIS研究科とは関係が深く、平成5年から分散処理学講座の客員助教授を担当しました。そのご縁で現職に就かせて頂いた次第です。

2.研究内容

現在は、KDDI時代に引き続き、高速インターネットやモバイルインターネットの通信プロトコルに関する研究を進めています。特に、データリンクレイヤ、ネットワークレイヤ、トランスポートレイヤといった、下位から中位のレイヤの通信プロトコルを研究の対象にしています。また機能的側面では、輻輳制御、モバイル制御、ルーチング制御、QoS、マルチキャスト、メディアアクセス制御などといった、データ通信機能を幅広く扱っています。言い換えれば通信プロトコルの研究なら何でも対象とするという姿勢で臨んでいます。

また、研究のアプローチとしては、モバイルQoS通信などのような、高機能な通信ネットワーク/通信サービスを想定して、その実現方法や問題解決方法などを検討するという手法をとります。このような高機能なネットワークではその実現にいくつものプロトコルが必要となるため、研究内容も、いかに複数のプロトコルを組み合わせてその上にどのような新機能を導入するかを考えることになります。上述のモバイルQoSの研究例では、Mobile IP/MPLS/ルーチングプロトコルなどを組み合わせ、その上にモバイルエージェントのみが管理するPathletという仕組みを導入しています。このように広範囲でかつ詳細なプロトコルの知識の上に立った研究をしたいと思っています。

具体的な研究には次のようなものがあります。

超高速データ通信のためのTCP輻輳制御

近年10Gbpsといった超高速回線を用いたインターネットバックボーンが構築されつつあります。このようなネットワークが普及すると、高エネルギー・核融合科学などの科学技術研究において、テラバイトを越える大容量データを転送したいという要求が生じてきます。ここでは、1つの通信で10Gbpsのスループットを必要とする通信が、複数存在した場合、シビアな輻輳が生ずるという課題が想定されます。これに対して、1つのTCPコネクション中に複数のサブコネクションを導入し、サブコネクションごとに輻輳制御を行わせる方式の研究を行っています。

スケーラブルなQoSマルチキャスト通信方式

インターネット上で複数の受信者に同時に映像配信を行うためには、マルチキャスト通信方式を使用します。さらに映像通信のような一定の帯域を保証する場合はQoSマルチキャスト通信が必要となります。帯域を保証する場合は、ある映像の配信を要求すると、その情報が流れるリンク上で必要帯域が予約され、その結果、減少した利用可能帯域の情報を他のマルチキャストルータに広告する必要があります。現在のマルチキャスト通信ではこの広告がインターネット全体に広がらざるを得ません。そこで、ネットワークを複数のドメインに分割し、広告の範囲をドメイン内またはドメイン間のみに限定することにより、広告される情報量を減少させ、さらに不完全な情報から帯域を保証する回線を選択するスケーラブルな通信方式を研究しています。

マルチキャストルーチングプロトコルを解析するマルチキャスト通信モニタ

マルチキャスト情報を運ぶIPデータグラムは、クラスDアドレスと呼ばれる特殊な宛先アドレスを使用します。クラスDアドレスは、特定の情報の受信を希望するグループをさしています。このため、マルチキャストデータグラムを監視しただけでは、それがネットワークのどの部分を転送されるか、そのデータグラムが発生した原因は何かなどが分からず、このため、マルチキャストデータの流れの解析は困難なものとなっています。そこで、マルチキャストデータグラムの転送を制御するマルチキャストルーチングプロトコルの制御メッセージと、マルチキャストデータグラムの双方を監視し、マルチキャスト通信の振る舞いを詳細に解析可能なシステムを開発しています。

MPLSを用いたスケーラブルなモバイルQoS通信方式

近年Mobile IPがモバイルインターネットの基本プロトコルとして注目されています。しかし現状のMobile IPはベストエフォート通信のみを対象とし、帯域を保証するQoS通信はサポートしていません。現在さまざまなモバイルQoS方式が提案されていますが、これらはすべてバックボーンルータに個別の通信で必要となる帯域情報を管理させています。しかしMobile IPでは、個別のモバイル端末の情報はHA (Home Agent)やFA (Foreign Agent)といった移動を管理するノードのみに管理させるということを基本方針としています。このため既存のモバイルQoS通信方式はこの方針に反しており、スケーラビリティに問題があるといえます。そこで、MPLS (Multiprotocol Label Switching)を使って、HAやFAの間にふと束のパスを前もって確立しておき、個別のモバイル端末のQoS通信はそのパスの中の一部の帯域を使用し、その管理はHAやFAのみに行わせるという、Mobile IPと同程度のスケーラビリティを有する通信方式を検討しています。


これ以外にも、移動先で動的にホームアドレスの割り当てを行うMobile IP方式、Mobile IPのハンドオフに起因するパケットロスに伴うスループット低下を防ぐTCP高速化方式、高密度アドホックネットワークにおける効率的なオンデマンドルーチングと階層的ルーチング、ブロードキャスト型無線ネットワークのためのOSPF (Open Shortest Path First)の拡張などの研究を進めています。今後とも、高速インターネット、モバイルインターネット、アドホックネットワークなどで使用される各種通信プロトコルに関して研究してゆきたいと考えています。

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