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教員紹介

田野 俊一 教授 TANO Shun'ichi

  • 情報メディアシステム学専攻
  • 情報メディア学講座
  • tano(at)is.uec.ac.jp

1.情報システムに対する問題意識

情報の表現や思考のための基本メディアである文字、言語、数字が出現したのは1万年以上も前であると言われています。次いで情報の保存・共有・伝達のためのメディアとして、550年前のグーテンベルクの活版印刷を契機に、約100年前までに写真、電話、映画、ラジオ、TVの概念が社会に出現し、実現されていきました。約55年前、ついに計算機が登場し、新しいメディアの担い手となりました。いまや情報システムはデータを処理する単なる計算システムではなく、「情報システム=メディア」とみなす方が適切であるとさえ言える状況に到達しました。

この1万年前、550年前、55年前というタイムスパンが示すようにメディアは加速度的に発展してきました。特にIT革命と呼ばれているここ10年は、情報技術によって文字通り革命的なスピードで進化してきました。確かに、近年、マルチメディア技術、ネットワーク技術の飛躍的な進展により、世界中に広がる多種多様な情報を自由自在に利用可能な個人情報環境が出現し、新たな情報化社会を迎えつつあるように見えます。

しかしながら、コンピュータの利用者は17インチや20インチの狭いモニタに縛りつけられ、コンピュータへの入力はキーボード、マウスの組み合わせに限定されているのが現状です。紙と鉛筆に代表される実世界に存在する道具のよさや、音声・表情等を利用した人間的な対話形態のよさを無視した現在のコンピュータ利用環境上の制約は、コンピュータ側からの一方的な押し付けであり、一般の人々の自由な利用を妨げる最大の要因となっています。さらに、この不自然な制約は単に使いやすさを減少するばかりでなく、我々の知的創造活動をも阻害していることがわかってきています。

2.新たな情報メディアの創造

上記のような問題意識を背景に、私の研究室では、様々な高度情報技術によって実現可能となる情報メディアの創造を行っています。具体的には、立体画像・音場や力覚フィードバックなどのバーチャルリアリティ技術、マルチメディア情報の認識・合成技術、知的処理などの先端的情報技術で実現可能となる情報メディアを、ユーザインタフェース、認知科学、心理学の観点で評価分析することにより、人間の知的・創造的活動を支援する新たなメディアの創造を目指しています。

3.研究アプローチ

情報メディアを創造するためには2つのアプローチが必要であると考えています。

第一はコンピュータシステムの外見を変えるというアプローチです。キーボードとマウスといった形態が変わるという意味です。コンピュータ中心ではなく、人間中心・実世界中心の考え方を基に設計することにより、現在のモニタ+キーボード+マウスの組み合わせに代わる、"音声、手書き、ジェスチャ等のマルチモーダルな形態で対話でき、かつ知的なUIを有する新たなコンピューティング環境"を創造します。具体的には、現在のグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の次のユーザインタフェースの基本技術であると目される、仮想世界指向UI(コンピュータの中に世界を作る)、実世界指向UI(実世界の中にコンピュータを埋め込む)、知的エージェント指向UI(知性を持ったUI)を融合した新たなコンセプトに基づいた情報メディアの創造を目的として研究を進めています。

第二はコンピュータシステムの中身を変えるというアプローチです。もっと賢いコンピュータに変えるための知的アルゴリズムに関する研究です。音声、手書き入力などの非同期入力、各モードでの入力データの認識、それぞれのモードでの入力データの統合、認識誤りの訂正、ユーザの入力への応答の生成、応答のマルチモーダル応答への変換、などから構成される、新たな情報メディア実現のためのソフトウェアアーキテクチュアの確立を目指しています。

具体的には、記号操作により知能を実現しようとするシンボリズム(例えば、記号を用いたルール推論)と、刺激反応などの計算により知能を実現しようとするコネクショニズム(例えば、ファジィ技術、ニューロ技術など)を融合した新たな計算原理を模索しています。

学生諸君と共に、このチャレンジングで困難な課題の解決に取り組んで行きたいと考えています。学生諸君にはコンセプト創造からアルゴリズム設計、システム開発、評価まで一貫して経験してもらい、一流の研究者・技術者に育つことを期待しています。

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