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教員紹介

末廣 尚士 教授 SUEHIRO Takashi

  • 情報メディアシステム学専攻
  • 知能システム学講座
  • suehiro(at)is.uec.ac.jp

物理メディアとしてのロボット

コンピュータの目覚しい進歩により情報処理技術は計算機内の情報を扱うという点では大きな成功をおさめてきました。しかし、これは一方で計算機に不慣れな人間はその恩恵を十分に享受することができず情報弱者を生み出しています。また、今後の少子化、高齢化社会の到来に伴い、情報という仮想世界のみならず実際の生活における様々な場面で支援してくれる技術が必要となってきます。我々が生活する現実世界で計算機を特に意識することなしに我々の日常的な生活空間で享受することができるようにするために、「人間を含む実世界との(物理的な)インタラクションを行うための技術」が重要になります。

例えば、医療の場面を考えると、情報処理のみの視点のバーチャルリアリティによるシミュレーションでは訓練や事前の確認にしか使うことができません。実際の患者のデータを取り込み、また場合によっては物理的な操作を行うことによって実際の医療を行うことができるようになります。また、電子秘書などオフィス支援を考えると、情報処理的な電子秘書技術はどんどん進歩していますが、ペンやはさみを手渡してくれるなどのちょっとした手助けすら物理的な支援がはいってくると現在の技術では難しいことになります。このためには実環境に対する物理的なインタラクションを行う技術が必須です。

我々の研究室では、知能システムに要求される知的機能を上記の視点で捉えて、実世界や人間とのインタラクションを行い我々が必要とする目的を達成するための知能に焦点を当てて研究を行います。

人の役に立つ知能システムに向けて

21世紀に入って我々は少子高齢化、エネルギー・環境といったこれまで経験したことのない課題に直面しています。生活支援ロボットや介助ロボット、またこれまでロボット化が難しかった人と共存し移動、作業を行える新産業用ロボットなどのロボット技術に対する期待も高まってきています。そういった中で、我々の研究室では、人の役に立つ具体的な作業を行う知能システム(=ロボット)の実現を目指す中で知能ロボットシステム技術を構築することを目標としています。

とりわけロボットが作業をするという視点からは、今後ますますマニピュレーションが重要になると考えています。特に柔軟物やゆるい把持、また不確定性が多い操りなどをセンサ情報をリアルタイムに利用しながら、多数の制約条件や冗長自由度を巧みに利用する技術はロボットの活躍の場を広げるために不可欠な技術になってくるでしょう。

また単に研究のためだけにロボットを作っておしまいということではなく、そこで得られた成果を多くの人に使ってもらい、さまざまな知能ロボットシステムを容易に構築できるようにする必要があります。このためにはロボットの技術を相互に運用しあうためのソフトウェア基盤として、ロボット用ミドルウェアの開発とその普及が重要になってきます。その1つであるOpenRTMはまだ生まれたばかりで、機能的には不十分な点もあります。我々のロボット研究の中で使っていき、さらに使いやすRTミドルウェアの開発に貢献していきたいと考えています。

これらの研究を通して様々な新しいロボットが我々人間の生活をより豊かに支えてくれるような世界がくることを期待しています。

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