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教員紹介

工藤 俊亮 准教授 KUDOH Shunsuke

  • 情報メディアシステム学専攻
  • 知能システム学講座
  • kudoh(at)is.uec.ac.jp

近年ロボット技術の進歩は著しく,従来困難と考えられていた二足歩行ロボットなども,高性能なものが次々と開発されるようになってきています。ロボットが我々の実際の生活の中で活躍するという状況も,現実的なものとして考えられるようになってきました。しかしロボットが実際に役に立つためには,自由に動きまわれるだけでは不十分で,何かの「作業」をする必要があります。

ロボットの性能が高まれば高まる程,要求される作業も複雑なものになってきます。工場での単純な組立作業であれば,いちいち人間が動きをプログラミングしていても問題なかったのかもしれませんが,生活空間の中で作業となると,対象物体や周囲の環境に多くのバリエーションがでてきてしまうなど,そのつど人間が専用のプログラムを作成するというやり方が現実的ではなくなってきます。

例えば台所作業を考えた場合,にんじんを包丁で切れるロボットがあったとして,じゃがいもを切らせようと思った場合,工場で新しいプログラムを作ってやらないといけないようでは使いものになりません。なんとかしてロボットに人間の行う「野菜を切るという作業」を理解させ,いちいちプログラムを組み直さなくても,いろいろな野菜を切れるようにする必要があります。

このような問題意識のもとで,我々は人間の行う高度な作業を効率的かつ効果的にロボットに実現させるための枠組を研究しています。ここでは,いわば人間のもつ「技」の構造を抽出し,ロボットに実現させるかがポイントになります。

我々は,人間が人間に何かを教える時のように,目の前でその動作を実演してみせるだけで,ロボットがそこから必要な技術を自動的に習得するというのが最も理想的ではないかと考えています。つまり,ロボットが人間の行動を「観察」して,そこから動作や作業の本質を「理解」し,それに基づいて動作を「再現」するというやり方です。我々はこの枠組を「観察学習パラダイム」(Learning-From-Observation (LFO))と呼んでいます。

これまで「タスクモデル」という考え方を用いて,この問題に取り組んできました。これは人間の目標とする作業や動作を,「何をするか」を表す「タスク」と,それを「どのようにするか」を表す「スキル」とに分けて認識し,このタスクとスキルによって動作の本質的な構造を把握した上で,ロボットに動作を再現させるという手法です。

具体的な対象として,これまでに,全身動作によるバランス保持の実現,舞踊(日本の伝統的な舞踊)のロボットによる再現,ロボットによる絵画の描画などの研究を行ってきました。

さらに今後は,例えばロボットが自分の再現動作を観察し動作を繰り返すたびに自動的に上達していったり,エンターテインメント的な作業であれば,周囲の人の反応を見ながらより満足してもらえる動作にしていったりというようなことができるようになると面白いと思っています。

人間の持つ技術をどのようにして効率的にロボットに習得させていくか。これから先,様々な局面でロボットの利用が期待されていく中で,ますます重要な問題となってくることは間違いありません。面白い対象をみつけ,どんどん新しい「技」をロボットに習得させられるよう挑戦していきたいと考えています。

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