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教員紹介

木田 隆 教授 KIDA Takashi

  • 情報メディアシステム学専攻
  • 制御システム学講座
  • kida(at)mce.uec.ac.jp

1. 背景

宇宙開発にいくらかでも役立つことを願って、人工衛星の制御の研究を行ってきました。毎日の生活のなかで、地球周辺を飛行する眼には見えない人工衛星は意外に欠かせない役割をもっていますが、それも宇宙開発の歴史の中で急速に進化しています。ひとつは、宇宙ステーションのように大型の構造物を軌道上で建造する計画です。優れた制御技術の基盤となる制御理論もこの10年間に飛躍的に進歩しました。古典制御、現代制御を踏まえて発展した新しいパラダイムと呼ばれています。数年前にこのような新しい制御を使って、宇宙開発事業団 (現在宇宙航空研究開発機構) の人工衛星「きく6号」の高精度の制御実験を軌道上で行う機会を得ることができ、貴重な経験を積むことができました。

2. 現在の研究

いま興味をもっている研究テーマもこれらの経験の延長線上にあります。
ひとつは、大型の宇宙構造物を高い精度で制御する技術です。このためには、構造の弾性振動を制御することが必要なのですが、これは本来、分布系として表現できるシステムなので、その制御はチャレンジングな研究課題です。研究の主流として、分布系を集中系で近似表現して、それの次数を低次元化したモデルを作ってモデル化の途中で発生するモデル誤差に対してロバスト安定な制御系を設計する方法がありますが、数々の欠点もこのアプローチはもっています。そこで、これからは物理的な性質をうまく利用した、よりエレガントな設計法を考えていきたいと思っています。ところで宇宙構造物は軌道上で結合や展開によって建造される大型の建築物なので、建造途中に、著しく形態が変動していきます。そこで、このような変動する構造物の振動の制御の方法もこれから考えていきたいと思っています。もうひとつは宇宙ステーションのようなプラットホームを利用するために必要な軌道上でのフリーフライヤの飛行制御です。構造物を曳航するスペースタグ、マニピュレータで物資の補給や装置の交換を行う宇宙ロボットなどが考えられています。しかし、宇宙空間で現実にその飛行を制御することは、地上や海上の乗り物とは違った困難さがあります。もっとも顕著なのは、これらが、非線形の6自由度運動をするシステムであることだと思います。そのための制御系の設計法を研究していきたいと考えています。

3. 展望

さまざまな期待や夢とともに宇宙開発計画は展開しつづけています。実際の設計・開発は経済性や社会的な要求を考慮した広い意味でのシステム技術ですが、私は制御技術の立場から考えていきたいと思っています。これまでに実現できなかったような宇宙システムを制御によって現実のものとできる可能性が、これからはますます増えていくと確信しています。 そしてその結果が我々のよりよい生活に貢献することを願っています。 もしそれを見つけ出すことができれば、一研究者として何者にも換えられない喜びです。そして若い学生たちと一緒に問題を考えていくことはそれにも増して大きい楽しみです。

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