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教員紹介

柳生 智彦 客員准教授 YAGYU Tomohiko

  • 情報システム基盤学専攻
  • 情報システム基礎学講座
  • 日本電気株式会社 中央研究所 クラウドシステム研究所
  • yagyu(at)is.uec.ac.jp

はじめに

東日本大震災で通信網が被災し、被災地では携帯電話が数日間利用できなくなりました。災害時には情報の伝達は非常に重要であるため、如何に被災地で迅速に通信を復旧するかは社会的な課題として残りました。また、スマートフォンの普及によりモバイルネットワークの通信量は飛躍的に増加しており、どうやって通信設備への投資を抑えながら品質の良い通信を確保するかが携帯電話会社にとって深刻な課題となっています。さらには、新興国でもインターネットが爆発的に普及し、現在主流であるIPv4アドレスが最近無くなりました。つまり原理的にはこれ以上ユーザを増やせないことを意味します。そのため、今後IPアドレスを膨大に持つIPv6へと移行していく必要がありますが、その莫大な経路情報をどう効率的にルーティングするかが国際的な課題となっています。途上国では電気すらまともに来ていない地域でも、貧困から脱出する手段として携帯電話サービスやインターネットサービスが切実に求められています。

研究領域としては、上記のような様々な課題に対して、ルーティング技術をベースとした解決策を検討していきたいと考えています。

研究内容

インターネットや携帯電話などの通信システムは、もはや繋がることがあたりまえとなっています。"繋がる"ための基本的かつ重要な要素として、ある端末から別の端末にデータを送る場合、どこを経由してデータ(パケット)を送るかを決める経路制御(ルーティング)があります。ルーティングはグラフ上で最短経路を計算するという一見単純な問題のように思えますが、状況や目的によって様々な工夫が必要となります。例えば、以下のような場合にどのような経路を選択すれば良いか、答えは様々に変わってきます。

  • 非常に多くの通信(トラフィック)が発生する場合
  • 要求条件の異なる通信(例えば、電話やビデオ会議などのリアルタイム通信と、メールやWeb閲覧のような非リアルタイム通信)が混在する場合
  • 通信回線や通信機器が故障した時に復旧する場合、もしくは故障しても通信が途切れないようにしたい場合
  • 端末が移動する場合
  • ルータ(中継機)が移動する場合
  • 通信回線が頻繁に切れる場合
  • ルータがバッテリや太陽電池で動作している場合

任意の2端末間の通信経路を確保するのがルーティングの本来の目的ですが、他にも様々な目的が考えられます。

  • 通信が切れないようにしたい(信頼性)
  • 通信品質を確保したい(Quality of Service:QoS)
  • 通信の経費を安くしたい(経済性)
  • 通信回線を最大限に利用したい(効率性)
  • 電力消費を抑えたい(省電力)
  • 盗聴などをされない安全な通信を行いたい(安全性)

特に、インターネット、モバイルネットワーク、アドホックネットワーク、センサネットワーク、DTN (Delay/Disruption Tolerant Network : DTN : 遅延・切断耐性ネットワーク)、コンテンツ配信ネットワーク等を対象として、新たなルーティング方式の研究に取り組みます。もちろん、問題解決に必要であればルーティングに限らず、輻輳制御やアプリケーション制御などに関する課題にも取り組むことも可能です。

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