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教員紹介

田中 久陽 准教授 Tanaka Hisa-Aki

  • 情報システム基盤学専攻
  • 基盤ハードウェア学講座
  • htan(at)ee.uec.ac.jp

この数年でインターネットが日常生活に欠くことのできないものとなり,「情報通信」というものが目に見えるかたちで私たちに影響を与えるようになってきています.その一方,生物の本質に迫る研究としてあらゆる生物の根幹となるDNAの転写ネットワークをシステムとして捉えようとする研究が行なわれつつあります.さらに,情報処理および精神活動の源となる脳/神経系という特異なハードウエアのシステム設計原理を理解しようとする研究も着実な進展が見られます.

このように私たちは(幸か不幸か)かつてない劇的な変化を予期させる面白くかつ危険な時代にいることは間違いないでしょう.

私の個人的な見方ですが,このような状境で大学での研究には現在大きな可能性と期待があるものと思います.かつて「蒸気機関」というテクノロジーから「熱力学」という物理が生まれたように,現在のテクノロジーのかかえる課題,困難の本質に注視することはおそらく未だ存在しない新しい考え方や理論を生み出すことになるのではないでしょうか?

たとえば,現在の先端技術の一つである大規模集積回路(VLSI)内のクロック信号の生成と分配の問題はコンピューターの性能を決定する一つの重要な要素ですが,問題の本質は信号の遅延やノイズ,電圧変動,エネルギー消費等の多くの制約下でいかに正確な機能を実現できるかということにあります. ところが,このような問題は多くの生物の体内に遍在している体内時計(サーカディアンリズム)に見られるものと共通する構造をもっています.このような異なるシステムを鳥瞰できる見方や理論が構築できないでしょうか?

あるいはインターネットを支える物理的なネットワーク,WWW間のリンクのネットワーク,発電変電所の大規模なネットワーク...これらはどれほどロバストであるといえるのでしょうか?最近のコンピュターウイルスの進化(?)はネットワークに潜在する危険性を示しているのではないでしょうか? このようなネットワーク上での動的な問題あるいは動的に成長するネットワークそのものを扱うことは一般に困難な問題でしょうが,最近のランダムネットワークおよびスモールワールドネットワークの研究は新しい展開を示しているように思われます.この先に何か新しい考え方や理論が生み出されるのではないでしょうか?...

このような問題意識が私の研究をドライブする動機となっていますが,これらの問題に「ここまでは分かったが,ここから先はまだ分かりません」というクリアーな見解を示すことができるスタンスで着実な研究を進めていきたいと日頃考えています.逆に,いわゆる複雑系の研究で陥る危険性のある単なるシミュレーションデータとシナリオ作りに終始するような研究は避けようと意識しています. そのためにも常に「工学の現実的問題の科学的側面を重視する」ことを第一に尊重しています.

このような姿勢で,これまで取り組んできた問題と現在取り組んでいる問題は

(1)VLSI上のクロックの大域同期を実現する新手法,

(2)サーカディアンリズム(生物時計)の動作メカニズムの解明,

(3)半導体レーザーアレー,ミリ波発振回路等の固体素子の集団同期の実現

等,であります.これらの研究にはいずれも先駆的な仕事が国内外でなされていますが,工学的な実現を考えると今後開拓すべき分野が多く存在すると思われます.いずれの問題も理論やシミュレーションのみで閉じる問題ではなく,作ってみて考える,実験して検証することを目指しています.そのために実験を行なっているグループと積極的な共同研究も行なっていきます.

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