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教員紹介

田 光江 客員教授 DEN Mitsue

  • 情報システム基盤学専攻
  • 高性能コンピューティング学講座
  • 独立行政法人 情報通信研究機構
  • den(at)nict.go.jp

1.はじめに

「物質が光速に近い速さで走ると質量が増える」この話を高校の時に聞いたのが、宇宙物理の分野を選ぶきっかけとなりました。突飛に思えたことを説明できるという理論を学びたいと考えたのです。大学院時代に「なぜ宇宙は一様・等方なのか」を説明するインフレーション宇宙論が唱えられ、ここで銀河のたねとなる宇宙の密度のゆらぎがどう成長して行くかを調べる研究を行いましたが、この時に初めて研究で数値計算を使いました。プログラミングや図示化に試行錯誤しながら宇宙が膨張して行く様をモニター上で見ると、自分で宇宙を作っているような感覚を持ちました。ここではこれまで携わった研究、これから進めていく研究、そしてそれらの面白さについて述べたいと思います。

2.これまでの研究テーマ、これからの研究テーマ

宇宙の様々なスケールの現象について時には手で、時には数値計算で研究を行って来ました。下のようになります。

1) 非等方宇宙におけるゆらぎの定式化
2) 宇宙の大規模構造の形成
3) 超新星爆発中の流体不安定
4) 太陽コロナ質量放出の伝搬
5) 衝撃波加速による粒子加速

1)では宇宙が等方からずれたときのアインシュタイン方程式の摂動の定式化で、等方宇宙にない、重力波と密度ゆらぎの結合があることが分りました。研究の面白さは「新発見」の喜びにあると実感した研究です。2)~5)は初めて偏微分方程式と大規模計算にとりかかった研究で、主にアインシュタイン方程式と流体力学方程式、5)については確率微分方程式を解く問題です。数値計算が面白い所の一つは、初期条件、境界条件、規格化定数を変えれば、様々なスケールの様々な現象を扱うことが出来る点にあると言えます。3)では爆発により強い衝撃波が星の中を伝搬しますが、特にここで数値計算に関して多くを学びました。例えば基本的な差分法で不連続構造である衝撃波を格子に切った空間内で表現すると数値振動や数値不安定、または数値粘性により衝撃波が鈍るなどの困難があり、衝撃波捕獲スキームという問題に適した差分スキームが必要であることが挙げられます。

現在は主に4)と5)の研究テーマに取り組んでいます。コロナ質量放出とは太陽面の爆発現象の一つで、これが起こると数日後に地球磁気圏に磁気嵐やサブストームと呼ばれる活動が起こり、地球近傍の宇宙環境や電離層に大きな影響を及ぼすことが知られています。またこれに伴って発生する衝撃波はプロトンや電子を加速して高エネルギーにし、これらは人工衛星に脅威になることも知られています。これら地球近傍の宇宙環境へ影響を及ぼす現象の予測は宇宙天気予報研究の一つとされていますが、現在はこれらの現象を予測することを目的に、現象の発生、進化のメカニズムを解明するため、数値シミュレーションによるモデリング研究を行っています。

3.目指すこと

数値シミュレーションは手で問題が解決できなくなった時に必要不可欠なツールとなります。自身でプログラミング、図示化、結果の解析をすることはその過程で論理的な思考をはじめ、目的に向けた計画性、結果を予測する能力、またある程度の忍耐を身につけるトレーニングになります。基本的な問題から自分で考え、自分で問題解決のための努力をすることを目指しましょう。

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