このページの先頭です

メニューを飛ばして本文を読む

ここから本文です

サイト内の現在位置

教員紹介 リレーコラム

情報システムが切り拓く未来 第4回 2008年10月

人間中心のやわらかい情報システム

橋山 智訓
情報メディアシステム学専攻 情報メディア学講座

ソフトコンピューティング研究とのかかわり

ゼミ風景
ゼミ風景(2008.Aug)

私が大学院生だった1990年前後は、家電をはじめとする様々な製品にファジィシステムやニューラルネットワークが応用され、ブームを巻き起こしていました。私の研究は、それぞれの特長を活かした形でハイブリッドシステムを構成する方法についてのものでした。具体的には、ファジィシステム表現による分かりやすさとニューラルネットワークの学習能力の融合手法に関する研究で、人間の意思決定のモデル化を対象としました。

当時、この分野は日本からの情報発信が活発であり、自分が行っている研究が世界中でも先端のものであると(生意気にも)実感し、学生ながらワクワク感を楽しませてもらっていました。

情報システムと人間とのかかわり

近年の情報システムの発展により、我々を囲む環境は劇的に変化しています。ソフトコンピューティングの分野に関しても、90年代にはコンピュータの性能的な制約から、モデルの簡略化、計算の簡略化が主たる貢献だったと思います。

現在では、計算性能の飛躍的な向上により、そのような簡略化をせずとも、実時間での厳密な計算が不可能ではなくなってきています。だからといってソフトコンピューティングに関係する研究が不要になったわけではありません。

OB会にて
OB会にて(2007.Nov)

私が所属する情報メディアシステム学(MS)専攻では、人間と情報システムとの関わりを主たる研究テーマに据えています。このことからもお分かりいただけるように、システムと人間を切り離すのではなく人間を中心とした系として情報システムを議論する必要があります。

この視点から、ソフトコンピューティング技術の情報システムへの貢献としては、ファジィ理論の祖であるZadeh先生の「不適合性の原理」が挙げられます。人間の思考や行動には本質的に曖昧さが含まれているので、人間を含むような複雑な系を考える上では、正確さ・厳密さを過度に追い求めること無く、逆に、精度の低い情報や部分的な情報をも許容する方法論の確立が必要であるというものです。

大学人として

現在、このような目標に向かって研究を進めていますが、一つの問題を解決したつもりになって、山を乗り越えたと思ったら、その先にさらに険しい山が見えることもあります。私の学生時代にボスが導いてくれたように、これらの山を乗り越えたときに見える別世界の景色を目指して、学生とともに歩んで行きたいと思っています。山登りには筋肉痛がつきものだとも思いますが、それを補ってあまりある世界が開けると思います。私が学生時代に感じることができたワクワク感を皆さんにも感じてもらえれば、大学人としての役割を少しでも全うできるのではないかと思っています。

研究室での生活

私が所属する情報メディア学講座では、人間のつながりを大事にしています。写真をご覧いただき、研究室の雰囲気が少しでも伝わると幸いです。

ゼミ合宿にて
ゼミ合宿にて(2008.Aug)

教員紹介