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教員紹介 リレーコラム

情報システムが切り拓く未来 第3回 2008年7月

情報システム学からの都市・地域計画,環境科学へのチャレンジ

山本 佳世子
社会知能情報学専攻 社会情報システム学講座

E・ハワード「田園都市論」との出会い

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ホノルルで開催されたIASTED2007の会場にて
(2007年8月)

私が現在の研究分野に関心を持ち,大学院に進学してさらに研究を続けたいと思った動機は,学部3年生の時にE・ハワード(イギリス)の「田園都市論」に出会ったことでした.これは,イギリスの産業革命でロンドンに人口が集中し,都市環境が悪化した時代に,「都市と農村の結婚」を目指して,自律した職住近接型の都市を郊外に建設しようとする構想です.この構想に基づいて,レッチワースやウェルウィンという田園都市が実際に建設されましたし,日本の郊外型の都市開発にも大きな影響を与えました。この「田園都市論」との出会いを契機として,都市・地域計画,環境科学についてさらに学びたいと思ったのです.

GIS(地理情報システム)への取り組み

私の研究のキーワードの一つには,GIS(Geographic Information Systems; 地理情報システム)があります.GISを利用した研究に取り組み始めたのは,大学院に進学してからです.当時のGISはUNIXで利用するものでしたが,電子地図上で多様な情報を表示するだけではなく,様々な空間解析機能を利用して複雑な解析評価を行うことができることを,たいへん新鮮に感じた記憶があります.
またGISの有用性が広く認識されたのは,1995年の阪神・淡路大震災の被害状況を電子地図形式でデータベース化したものが,復興事業で利用されたためです.ちょうどそのころ,私は博士論文に取り組んでいたのですが,この大震災の教訓を考慮し,博士論文は地域防災性からみた東京都内の公共的緑地の配置計画をGISで評価するものになりました.

情報システム学からのチャレンジ

私の研究はGISを利用したものが中心ですが,他にも,まちづくりや地域づくり,情報提供・共有化手法,環境意識・環境配慮行動に関するものなど,GISを利用しない研究も行っています.また研究室の中だけではなく,研究活動の一環としてフィールドワークにもしばしば出かけ,現場で見学したり,様々な人々へのヒアリング調査を行ったりすることもあります.このようなフィールドワークの成果は,GISや統計的手法等による分析結果の考察の中でよく役立っていますし,自分の研究成果を自分の目で確認するという意味もあります.

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宍道湖の夕日を背景にして(2007年8月)

このような経験の中で,最近よく考えることは,「一見して関係がないように思えても,よく調べてみると関連性があるものもある,むしろ関連性の有無を調べることで新たな発見があるかもしれないし,研究の新規性や独自性を示すことができる可能性がある」ということです.また,私の研究分野では解答はただ一つではないため,関連分野のできるだけ多くの研究者がその妥当性を認める解答を示すことが求められています.そのため,研究者同士や学生の皆さんと議論を重ねることも,研究プロセスの重要な要素になっています.GISを始めとした情報システムを有効に利用することで,学会だけではなく社会に対して最適な解答を提案することを目指していきたいと思っています.

集合写真
学生研究室にて(2008年6月)

ゼミ風景
ゼミ風景(2008年6月)

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